TOEICリスニングパート3、4の攻略法
ここではパート3とパート4の攻略法について、同時に説明していくことにします。
同時に説明する理由としては、パート3とパート4ともに問題自体は少し異なりますが、出題形式や攻略法は共通する部分が多く、同時に理解することが効率的だからです。
2016年5月からの新TOEICでの変更点
パート3はこれまで二者による会話でしたが、三者による会話の問題が出題されるようになりました。
二者による会話と三者による会話のいずれも一人が一度に話す内容が短くなり、その分、話し手が変わる頻度が高くなりました。
そして、これまでは10個の会話にそれぞれ3問の合計30問でしたが、13個の会話にそれぞれ3問になったため、合計で39問出題されることになります。
以上はパート3のみの変更点です。
以下はパート3とパート4に共通する変更点です。
問題用紙に図や表があり、それと聞いた内容を関連付けて回答する問題が新設されました。
話し手が発した言葉の意図や真意を問う問題も新設されました。
さらにはより実践的な会話に近づけるという目的で、省略形やリエゾン(連音)のようなネイティブスピーカー特有の発音が使われるようにもなっています。
パート3とパート4の出題形式
パート3は二者以上での会話、パート4は一人のスピーカーによるスピーチやアナウンスなどを聞くことになります。
パート3は13話、パート4は10話から成り立ち、それぞれに3つずつ問題があります。
パート3 全13話×それぞれ3つの問題=合計39問
パート4 全10話×それぞれ3つの問題=合計30問
問題用紙に記載されているのは、設問とその解答の4つの選択肢のみです。
パート3では会話、パート4ではスピーチなどが一度だけ読み上げられ、それを聞いて設問に回答していくことになります。
■有利に回答するための必須事項
これは誰もが言うことですが、問題用紙に記載された設問と解答の選択肢は会話が始まる前に読んでおきましょう。
これこそ点数を上げる一番のポイントです。
いわゆる「先読み」というものです。
方法は、パート3のディレクション(説明)が読み上げられているうちに問32〜34の設問と解答の選択肢に目を通す。
問32〜34の問題文を聞きながら問32〜34の正解をマークシートに塗る。
問32〜34の設問と解答の選択肢が読み上げられているうちに問35〜37の設問と解答の選択肢に目を通す。
問35〜37の問題文を聞きながら問35〜37の正解をマークシートに塗る。
問35〜37の設問と解答の選択肢が読み上げられているうちに問38〜40の設問と解答の選択肢に目を通す。
この流れをリスニングセクションの終わりまで繰り返し、常に設問と解答の選択肢を知った状態で問題文を聞くようにします。
当然ですが、先に設問と解答の選択肢を頭に入れておくことで、何が問われるかを知った上で問題文を聞くことができるため、回答に有利になるからです。
ある意味、ルールで許されているカンニングみたいなものですね。
また、先に設問と解答の選択肢を見ておくことで、音声に集中することができます。
当然ですが、問題文を聞いてその内容をすべて暗記し、その後に設問を聞いて回答していくというまっとうな方法では、記憶力勝負になってしまいます。
これでは記憶することに意識の大半が奪われてしまい、まともに回答できるものではありません。
このようなまっとうな方法はしないとしても、音声を聞きながら設問と解答の選択肢を見るというように、これら2つを同時にしようとすると、注意散漫になり、聞き逃しのリスクが高くなってしまいます。
大切なことは、音声が流れている間は音声に集中することです。
そのためには先読みを徹底的にすることです。
仮に分からない問題があっても無視して進んでください。
正解にこだわるよりも先読みのペースを崩さないことにこだわった方が確実に点数は取れます。
もし先読みのペースが崩れたら、いさぎよく1問捨てて先読みのペースを取り戻すようにしましょう。
先読みのペースを崩し、問題に遅れをとってしまうことは絶対にダメです。
■目標によって戦略が変わる
パート3、パート4ともにあなたが何点を目指すかによって戦略が変わってきます。
パート3とパート4、ともに1話につき3問出題されます。
一概には言えませんが、傾向として1問目がもっとも易しく、3問目がもっとも難しい傾向があります。
先ほど「問題用紙に記載された設問と解答の選択肢は会話が始まる前に読んでおきましょう」と説明しました。
これを「先読み」というのですが、目標とする点数によって先読みする量に変化をつけることをおすすめします。
具体的なことについては引き続き「目標別の戦略」として説明していきます。
■目標別の戦略
1話の各3問のうち、何問正解することを目標にするかによって「先読み」の戦略を変えます。
高得点を狙う人はもちろん全ての問題を先読みする必要があります。
しかし、500点や600点を目指す人であれば全ての問題を先読みする必要はありません。
たとえば、TOEICで500点を目指す人はおおよその正答率は50%で達成することができます。
つまりはパート3とパート4の場合、1話に出題される3問のうち1問もしくは2問の正解で達成できるわけです。
このように、確実に1問ないし2問を正解するために、先読みする量を限定するというのがここでいう戦略です。
3問のうち1問取りたい人は先読みする問題は2つでいいと思います。
3つ全て読もうとすると時間がなかったり、頭に入らなかったりして逆効果になる場合があるからです。
パート3とパート4ともにそれぞれの会話の1問目は、「これは何についての話題ですか」とか「この会話はどこで行われていますか」というように話全体についてを問う問題になっていることが多いです。
この手の問題は、問題文の冒頭を聞き取れれば確実に正解できますし、冒頭を聞き逃したとしても最後までその問のみに執着して聞けば確実に正解できます。
その理由は、必ずその状況や場を表す単語なり表現が話の中に入ってくるからです。
たとえば空港で行われている会話であれば、「boarding pass(搭乗券)」や「departure time(出発時刻)」というような状況や場所を特定できる単語が必ず登場します。
これらの単語を聞くだけで、「これは何についての話題ですか」とか「この会話はどこで行われていますか」というような話全体についてを問う問題は正解を導くことができます。
3問のうち1問取りたい人は、まずはこの手の問題を確実に正解するようにしましょう。
2問以上取りたい人は、全ての問題を先読みし、全ての問題に回答できるようにしておきましょう。
話全体についてを問う問題でないものは、具体的な回答を問う問題になります。
例えば、「何時に集合ですか?」や「何を持っていく必要がありますか?」というような問題です。
これらの問題は、先読みの段階で何が問われるのかを知った上で問題文を聞いていけば回答することができます。
問題文を聞きながら解答に該当する箇所が登場したらマークシートをすぐさま塗るという流れで回答していきます。
当然ですが、解答に該当する箇所を聞き逃してしまったら回答はできません。
この手の問題は、情報を正確に聞き取る力が必要になるので、「リスニングの力+先読み」の両輪を鍛え上げる必要があります。
■マークシートの塗り間違いに要注意
油断しているとやってしまうことに、マークシートの塗り間違いがあります。
特にパート3とパート4については3問セットで休みなく問題が進行していくため、マークシートの塗り間違いが他のパートよりも起こりやすいです。
マークシートの塗り間違いを防止する策として、問題用紙とマークシートは近い位置に置き、かつ、回答中の設問とマークシートの回答欄を常に横並びにした状態で問題を解くことです。
マークシートの塗り間違いをしてしまうと、消しゴムで消す時間とマークシートを塗り直す時間がダブルで必要になります。
これは非常にもったいないことなので、ここで説明したとおり、マークシートの塗り間違いが発生しない状態を作るようにしましょう。
■問題の種類は大きく3パターン
先ほどで、話全体について問う問題の解き方を説明しましたが、パート3とパート4の問題は大きく分けて以下の3パターンしかありません。
- 話全体について問う問題
- 話の中の詳細について問う問題
- 話し手の心情や意図、これから起こることを問う問題
「1」については先ほど説明したとおり、「場所、職業、内容、人間関係など」の話全体に共通することを問う問題です。
話全体を聞けば必ずどこかにヒントとなる単語があるので、この問題がもっとも難易度が低いです。
具体的には以下のような設問になります。
Where are the speakers?
What are the speakers mainly talking about?
Where do the speakers probably work?
「2」については、「何時に集合か」「何を選んだか」「何個必要か」など話の中の詳細について問う問題になります。
この手の問題は、設問を先読みして何が問われるか、そして何が答えの候補になっているかをしっかり把握しておくことが大切です。
具体的には以下のような設問になります。
What will happen at 10:00 p.m.?
What time will the speakers probably meet?
What is the woman worried about?
「1」のタイプの問題よりも先読みの力と聞き取りの力が求められる問題です。
聞き逃してしまったら、勘に頼ってマークシートを塗るしかありません。
「3」については、「この後、何をするでしょうか」「なぜ喜んだのですか」「何を意味しているでしょうか」など、話の中では直接的に言及されていないことを推測して回答する必要がある問題です。
具体的には以下のような設問になります。
What does the man imply?
Why does the man say "No problem."?
Why is the man unhappy?
話の全体について聞き取って理解し、さらには話の流れを推測する必要があるため、私はもっとも難しい問題だと位置づけています。
そして、難しいゆえに捨てるのなら「3」の問題です。
■解答の登場順序は流れどおり
それぞれの長文に設問は3つずつありますが、その解答になる箇所はほぼ長文の流れどおりにあると考えてOKです。
つまりは1つ目の設問の解答になる箇所が長文の最後の方に登場し、3つ目の設問の解答になる箇所が長文の最初の方に登場するということはほぼないということです。
■問題となる話題を事前に知っておく
パート3とパート4ともに出題される問題の話題はある程度パターン化されています。
パート3の場合は空港であったり、買い物シーンであったり、社内でのやりとりであったり、パート4の場合は何かの告知であったり、ニュースであったりと毎回定番のものが出題されます。
そのため、事前にどのような話題が出題されるのかを知っておくことはとても有効です。
なぜなら、どのような話題のときにどのような単語が登場するかが分かるからです。
先ほど、話全体を問う問題があると説明しましたが、これによってこの手の問題を解くことができるようになります。
事前に出題される話題を知るためにすべきことは、TOEIC公式問題集や予想問題集をTOEIC受験前に解いておくことです。
パターンは限られているため、一度解くだけでもどのような話題が出題され、それにはどのような単語が登場するのかが分かるようになります。
■パート3は主語をしっかりと把握する
パート3とパート4の異なる点は、パート3は二者もしくは三者間での会話であり、パート4は一人の人物によるスピーチやアナウンスなどであるということです。
そのため、パート3では動作などに対する主語は誰なのかを把握しておく必要があります。
例えば、以下のような設問があった場合、
What will she do next?
彼女は次、何をするでしょうか?
この設問の場合、ただ漠然と「何をするか」のみを聞き取っているだけでは正解にたどりつくことができません。
二人以上の人物が会話に登場をするので、「誰が何をするか」まで聞き取る必要があります。
その上で「彼女がすること」を回答しなければなりません。
だからこそ、主語をしっかりと把握することが大切になります。
特に三者間での会話が出題されるようになった新TOEICではなおさら主語には注意が必要です。
逆を言えば、設問を先読みするときも、主語は誰で何ついて問われているかをしっかりと把握することです。
■言い換えの表現に注意
TOEICの特徴として、会話の中で使われた単語や表現が問題文や回答の選択肢でもそのまま使われていることはあまりなく、他の単語や表現に言い換えられている場合が多いです。
そのため、言い換えの表現についても理解しておく必要があります。
【TOEICでよく出る言い換えの表現】
会話中 | 設問中 |
---|---|
book | reserve |
call | contact |
change appointment | reschedule |
check | review |
on sale | release launch |
keep | hold |
私はこの考えが正しいとは思いませが、「会話の中で使われた単語や表現がそのまま登場する回答の選択肢は間違いだ」との攻略法を主張する人がいるほど、会話中と設問中では言い換えがされています。
それゆえに言い換えの単語や表現について理解しておくこともパート3とパート4の攻略には大切です。
続いてリーディングセクションパート5の攻略法に入っていきます。