不定詞の形式主語とは
まずはこれだけ覚える!
不定詞の形式主語は「It is 〜 for 人 to V.」の形を取り、「Vすることは人にとって〜だ。」という意味になることが基本!
今回の講義では、特殊な不定詞の使い方である「不定詞の形式主語」について説明していきます。
It is very difficult for me to study English.
英語を勉強することは私にとってすごく難しいことだ。
上の文章は「to study English」という不定詞の名詞的用法をしています。
「It」が文章の主語になっていますが、その「It」は文章中の形式的な主語であって、実際の訳の中には登場していません。
上の例文を単語の並びのまま直訳をすると、
それは私にとって英語を勉強することはすごく難しいことだ。
という、日本語としておかしな意味になってしまいます。
これが、今回学習する「不定詞の形式主語」というもので、どのように使い、どのように訳すのかについて説明していきます。
〜目次〜
不定詞の形式主語は、以下の型を取ります。
It is 〜 for 人 to V.
Vすることは人にとって〜だ。
上でも挙げた例文を、改めて見てみます。
It is very difficult for me to study English.
英語を勉強することは私にとってすごく難しいことだ。
不定詞の形式主語の文章の型と、例文の意味を照らし合わせると、以下の説明となります。
文章の形式上の主語「it」を文頭に置いて、意味上の主語を「for 人」の形で後から指定するものを不定詞の形式主語と言い、形式主語「it」は意味を持ちません。
「it」は文章中の形式上の主語であり、「意味は持たない=訳さない」ということがポイントです。
主語は、「for 人」の形で後から指定された「人」です。
「〜」の部分は、形容詞に限らず、名詞も取ることができます。
It is very hard time for me to try new things.
新しいことに挑戦をすることは私にとって、とても厳しい時だ。
上の文章は「hard time」という名詞を取っています。
形式主語「it」は日本語にはない文法ゆえに、日本人が持っていない英語話者特有の感覚になります。
では、なぜ英語では不定詞の形式主語が用いられるのか、その理由について説明していくことにします。
なぜ英語では形式主語を使うの?
理由は、文章をスッキリさせるためです。
他にも細かな理由はありますが、「文章をスッキリさせるため」ということがもっとも大きな理由であり、これだけおぼえておけば、英文法を学ぶ上、英語を話す上では十分です。
「文章をスッキリさせるため」ということを実感するために、上の例文を形式主語を使用しない形にしてみます。
To try new things is very hard time for me.
この文章では主語が「To try new things」であり、少々長い感じがします。
※意味上の主語は「To try new things」をする「for me」に当たる「私」です。
これをスッキリさせるために形式主語「it」を用いているわけです。
では、なぜ英語ではこのように主語をスッキリさせるのでしょうか。
その理由は、英語の会話では、長い主語が好まれないからです。
ネイティブスピーカーの感覚では、長い主語で話がはじまると、「なんか難しい話が始まったな」という印象を持たれてしまうイメージです。
そのため、形式主語「it」を用いて、主語を短くします。
つまり、英語では不定詞の形式主語を使うことが一般的であり、中学の授業などでは、以下の2つの文を、
To try new things is very hard time for me.
It is very hard time for me to try new things.
「同じ意味である」と学習したり、同じ意味として書き換えをしたのは、厳密には正しくないということです。
ネイティブスピーカーが受け取る感覚が異なってしまうからです。
また、英語では、「誰にとって」とわざわざ意味上の主語を指定する必要のない一般的なことも形式主語を用いた文章で表現されます。
これも日本語にない、英語特有のルールです。
例文を見ていくことにしましょう。
It's not healthy to smoke.
タバコを吸うことは健康的ではありません。
この文章には「for 人」がありませんが、意味上の主語は「人々」であると分かります。
このように主語を誰と特定しなくても特定できるような一般的な事柄についても形式主語を用います。
今回の講義で説明した不定詞の形式主語からも分かりますが、英語は結論ファーストの言語です。
長々と主語から述べるのでなく、話の結論である「〜だ」ということから述べ、その後に、主語を続けて意味を補足するイメージです。
日本語とは逆の感覚です。
日本語は、「あーで、こーで、そーで、だから【結論】なんです」みたいな話し方で、最後に結論を言います。
日本語と英語では、そもそも文法上の語順が違い、日本語は結論ラストな話し方になる言語です。
また、英語では、形式主語「it」を使った文章をよく使います。
以下の例文ように、不定詞に限らず、形式主語「it」を使います。
It's raining.
雨が降っています。
このような文章でも「it」は意味を持ちません。
この例文から言えることは、「具体的な主語はなくても、天気のことだ」という一般的な認識であることは形式主語「it」を使うということです。
次の講義はコチラ:SVOtoVの不定詞とは
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