TOEICリーディングパート7の攻略法
2016年5月からの新TOEICでの変更点
まず第一に挙げる変更点は、出題される長文の数、問題の数の両方が増えたということです。
これまでのパート7は全48問でしたが、それが全54問になりました。
そして、これまでは1つの長文から成る問題(以下、シングルパッセージと記述)と2つの長文から成る問題(以下、ダブルパッセージと記述)しかありませんでしたが、新たに3つの長文からなる問題(以下、トリプルパッセージと記述)が加わりました。
続いて、問題の具体的な変更点についてです。
テキストメッセージやインスタントメッセージ(チャット)、オンラインチャット形式で複数名が同時にやり取りを行う問題が新設されました。
この手の問題を解くには、口語的な表現を理解しておく必要があります。
また、長文中のとある短い1文を取り上げ、それが意図する内容について回答する問題も新設されました。
さらには文章内に新たな一文を挿入するのに適切な箇所を選ぶ問題も新設されました。
このように問題数も増え、難易度も高くなったのが新TOEICにおけるパート7です。
■パート7の出題形式について
パート7は長文のリーディング問題で、TOEICの最後のパートになります。
長文によって以下の表のように出題される問題の数が異なります。
- | 各長文の出題数 | 出題数合計 |
---|---|---|
シングル | 2〜4問 | 29問 |
ダブル | 5問 | 10問 |
トリプル | 5問 | 15問 |
※シングル=シングルパッセージ、ダブル=ダブルパッセージ、トリプル=トリプルパッセージ
上の表のとおり、シングルパッセージは1題につき2〜4問出題され、ダブルパッセージとトリプルパッセージは1題につき5問出題されます。
つまり、ダブルパッセージは毎回2題(1題につき5問、5問×2題=合計10問)、トリプルパッセージは毎回3題(1題につき5問、5問×3題=合計15問)ということです。
シングルパッセージは全29問ですが、長文ごとの設問数が流動的なため、出題される長文の数は毎回変わります。
このようにシングルパッセージで出題される長文の数は試験によって異なりますが、パート7全体で全54問というのは毎回同じです。
それぞれの問題には選択肢が4つずつ用意されており、その中から長文の内容に合ったものを選択するという四択問題になります。
■パート7の時間配分について
パート7は基本的に残った時間をすべて充てることになります。
そのため、考え方として、いかにその前のパート5とパート6の時間配分を守るかが重要です。
パート5とパート6の問題を解くことに執着しすぎて、パート7を解く時間がないというのでは、TOEIC全体でみたときに高得点は狙えません。
パート7のすべての問題を回答するために、私はパート5に10分、パート6に6分の合計16分。
そしてリーディング全体の75分から16分を引いた59分をパート7に丸々充てます。
このようにもっとも難しいと感じるパート7により多くの時間を充てられるペース配分を私は考えています。
しかしながら、よほどの速読力がない限り、これでも時間が足りないのがパート7です。
■集中力を上げるための考え方
パート7はTOEICの中で最後のパートであり、しかも長文読解という問題上、もっとも集中力が欠如した状態で集中力が求められることになります。
このような状態を考えるだけでも、パート7に対して嫌気がさしてしまうものです。
そうならないためにも、意識の問題だけなのですが、パート7をパート7と考えないことをおすすめします。
どういう意味かというと、シングルパッセージの問題をパート7と考え、ダブルパッセージとトリプルパッセージの問題をパート8と考えるようにしましょう、ということです。
このようにパート7を2つに分けて考えることで、問題量に気持ちが圧倒されづらくなりますし、時間の計測もしやすくなります。
また、パート7を解く最中に疲労や集中力の欠如を感じたら、深呼吸をすることです。
深呼吸をして脳に大量の酸素を送り込むことで、脳はまた活力を取り戻すことができます。
このように最後の力を振り絞るようにしましょう。
■消去法をしない
リスニングセクションのパート1とパート2では消去法が威力を発揮します。
そのため、リーディングセクションでも消去法を利用しようと考える人がいますが、リーディングセクションでは消去法は有効ではありません。
特にこのパート7はそうです。
単純にですが、「間違いの選択肢を消去する」のではなく「長文中から正解の選択肢を見つける」というアプローチが必要になるからです。
もし、「間違いの選択肢を見つける」という消去法のアプローチをしていれば、時間がかかりすぎてしまい、多くの問題を消化することができません。
ですので、正解を長文中から見つけて拾っていくというアプローチをするようにしましょう。
■パート7は長文に慣れること
パート7では大量の英文を読んで正しい答えを判断していかなければなりません。
私はTOEICの全パートの中でパート7がもっとも苦手だと認識しています。
基本的にパート7で高得点をとるにはテクニックも大事ですが、やはり長文を速く読む力が不可欠です。
その力をつけるためには日頃から長文を読んで慣れるしかありません。
つまりは日常的に英字新聞や洋書を読むようにするということです。
英字新聞はインターネットで無料で見れるものがあるので利用しやすいです。
スキマ時間にスマートフォンで読むようにしましょう。
分からない単語が出てきても調べずに読んでいく練習が効果的です。
なぜなら、実際のTOEICでも分からない単語があるからといって調べることはできないからです。
読み終えてから、分からない単語などは調べるようにしましょう。
パート7は慣れ以上に点数を上げる方法はありません。
もちろんこれから効果的なテクニックを説明していきますが、高得点を狙うには学習が必要だということを知っておいてください。
パート7は速読力が試されます。
速読力が点数を左右します。
先ほども言いましたが、速読するには普段から英文を読んで慣れることが一番です。
慣れてくるにつれて1つ1つの単語のスペルをはっきり見なくても英文を理解することができるようになります。
ここまでくると、かなりの速読ができるようになっているため、パート7を全問回答することも可能です。
■問題と解答の選択肢を先読みする
パート7でもパート3・4と同様の先読みがテクニックとして有効になります。
長文を読む前に出題される問題とその解答の選択肢を読んでおき、どこが問われるかをあらかじめ知った状態で長文を読み始めるのです。
そして、長文を読む中で、答えとなる箇所を拾ってはその都度マークシートを塗りつぶしていきます。
このようにパート7で高得点をとるには先読みが絶対に必要です。
■弱者の戦略、答えを効率的に拾いにいく
高得点を狙う私はほぼすべての文章を読むようにしていますが、800点未満の点数を狙うのであればすべての文章を読む必要はありません。
なぜなら、以下に説明する方法で荒く解いてもある程度の点数が取れるからです。
これは私がかつて600点程度の点数を目指してたいときにしていた方法になります。
まず、問題文を先に読み、何が問われるかを把握します。
このとき、解答の4つの選択肢までは読みません。
そして、この状態で長文の第一段落を読みます。
問題文を先に読んだ上で、第一段落を読めば何についての話かが分かります。
これだけで、話の大筋について問われる傾向が強い問1は答えられることが多いです。
次は、各段落の1行目を読んで、その段落が何について書かれているのかを把握していきます。
あらかじめ読んでおいた問題文と照合し、その段落に答えが落ちていそうかどうかを判断します。
そして、答えがその段落にありそうだと判断したのならば、その段落を集中的に読んで答えを探しにいきましょう。
このような方法でパート7を解いていけば、全ての長文を読むことなく打率5割以上で正解を導くことができます。
まだまだ英語力がなく高得点を目指すことができない人は、この方法で読む長文の量を減らし、そして、読むべき箇所だけしっかりと読んで正解を取りにいく方が効率的で結果もついてきます。
もちろん使い分けをすることも大切です。
はじめはしっかりと先読みをしてすべての文章を読んで回答するようにしますが、時間がなくなってきたらこの方法に切り替えるというのも戦略としては有効です。
各自が自分の目標や英語力に合わせて戦略を立てるようにしましょう。
■出題される問題のタイプについて
パート7で出題される問題は大きく6つに分けることができます。
- 長文全体についての問題
- 長文中の詳細についての問題
- 書き手の意図や心情についての問題
- 長文中の語彙の意味についての問題
- 今後の展開など推測が必要なことについての問題
- 該当しないものを選ぶNOT問題
それぞれの問題のタイプごとに解き方、注意点、難易度が異なりますので、それについて説明していきます。
■長文全体についての問題
長文全体についての問題とは、
What is the article about?
この記事は何についてですか?
という設問のように、長文全体について言えることに対しての質問です。
文章全体の内容を大まかにでも理解できているかを評価する問題で、難易度としてはもっとも低い問題になります。
なぜなら、長文全体を何となくでも目を通せば、だいたいでも何についての長文かは分かるからです。
400点や500点というスコアを目指す人が絶対に取りにいくべき問題です。
■長文中の詳細についての問題
長文中の詳細についての問題とは、
How much is the admission fee?
入場料は何円ですか?
という設問のように、長文中の具体的なことについての質問です。
料金、時間、個数、場所、人物名など具体的な回答を求められます。
(料金や数字、時刻を求める問題の中には簡単な計算が必要になるものもあります。)
このタイプの問題は、長文中に必ず答えが落ちているので、長文中から答えを探すというイメージで、時間をかければ回答できないことはありません。
よって、400点や500点というスコアを目指す人が優先して取りにいくべき問題です。
■書き手の意図や心情についての問題
書き手の意図や心情についての問題とは、
What does Mr. Smith mean when he writes, "No, thank you."?
スミスさんが書いた「No, thank you.」は何を意味していますか?
という設問のように、長文中のとある部分について、筆者がどういう意図でそれを書いたのかを問う質問です。
文章の全体の流れや展開を理解していなければ解くことができないため、長文全体の意味を理解する力が求められます。
しかしながら、ザックリとでも理解していれば解ける問題なので、敬遠することなく解くべき問題です。
■長文中の語彙の意味についての問題
長文中の語彙の意味についての問題とは、
The word "result" in paragraph 1, line 3, is closest in meaning to・・・(4つの選択肢)
第一段落3行目の「result」という単語は以下の4つの選択肢のどれにもっとも意味が近いでしょうか?
という設問のように、長文中のとある単語についての正しい意味を問う質問です。
この手の問題は選択肢を見るだけでは正解にたどり着くことは難しく(ただの単語の言い換えを問うわけではない)、文章全体をしっかりと読み、その中でどういう意味なのかを理解する必要があります。
よって、難易度が比較的高い問題になります。
■今後の展開など推測が必要なことについての問題
今後の展開など推測が必要なことについての問題とは、
What will Mr. Smith most likely do after the meeting?
スミスさんはミーティングの後、何をするでしょうか?
という設問のように、長文中の内容から推測して考えられることを問う質問です。
推測から答えを導き出す必要があるので、当然ですが、長文全体の意味をしっかりと理解する必要があります。
そのため、難易度が高い問題になります。
■該当しないものを選ぶNOT問題
該当しないものを選ぶNOT問題とは、
What is NOT mentioned about ABC Company.
ABC社について言及されていないことは何でしょうか?
というように、4つの回答の選択肢から長文の内容に該当しないものを選ぶ問題です。
つまりは選択肢のうち、3つは長文の内容とマッチしているということです。
パート7の中で唯一、消去法が有効になる問題ですが、半面、私はもっとも難易度が高い問題だと思っています。
なぜなら、1つ正しいものを選ぶのではなく、3つ正しいものを除外し、それによって残ったものを選ぶというイメージなので、回答に時間がかかります。
また、長文全体の意味をしっかりと理解する必要もあるからです。
ですので、このNOT問題はハイスコアを目指さない人が率先して捨てるべき問題です。
親切にも問題文は「NOT」と大文字で表記されているので、「NOT」を見た瞬間にこの問題は捨てると決めてもいいかもしれません。
■誰から誰への文章かをはじめに確認する
パート7では、メールや手紙など誰から誰へあてた文章かを理解することが重要になります。
これを理解すれば話の筋がつかみやすくなります。
確認方法は長文の冒頭と長文の最後を見ることです。
メールなら
To Tom トムへ
From Mike マイクから
手紙なら
Dear Tom トムへ
Sincerely, Mike マイクから
※手紙の場合、文章の最後に「Sincerely,」や「With best regards,」などの結びの言葉とともに差出人の名前がある。
ここを見るだけで確認できるので、はじめに見て話の内容をつかむのに役立てましょう。
■接続詞に注目すれば話の流れを推測できる
接続詞に注目すれば話の流れを理論的に理解することができます。
これは次にどんな展開となるのかを予測することにも役立ちます。
but(しかし)が来れば続く内容は「逆説」
so(だから)が来れば続く内容は「根拠」
because(なぜならば)が来れば続く内容は「結論」
例を3つ挙げましたが、英語でも日本語でも文章は同じ論理で展開されます。
接続詞から次に続く内容を判断するのは、長文の中から答えを探す上で有効なテクニックとなります。
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