主語と冠詞を省略しないのが英語
文法というルールはあれども、実際に使われている言葉となれば文法とは異なることが多々あります。
私たちは日本語ネイティブのため日本語の文法を勉強したことがないので自覚することは難しいですが、普段の会話の言葉であれば、文法と間違ったものを使っていることがよくあります。
その典型的な例が「省略」ではないでしょうか。
省略してしまうことは文法上は正しくないが、実際の言葉としては省略されることがよくあり、それで通じる、もっぱら省略形が使われているということはよくあります。
これは日本語でも英語でも共通ですが、日本語と英語では何が省略されるかが違います。
そして、日本語と違い、英語で省略されないのは「主語」と「冠詞」です。
I am tired.
疲れたー。
(私は疲れました。)
I am hungry.
お腹すいたー。
(私はお腹がすきました。)
I help you.
手伝うよ。
(私はあなたを助けます。)
上の例文を見てのとおり、英語では必ず主語が入りますが、日本語では主語を省略することがよくあります。
省略の概念としては、省略することによって通じなくなるもの以外は省略できると私は考えています。
言い換えるのなら、その言語において省略されないものが文章の意味としては重要であり、省略されない言葉(品詞)こそが力を持っているということです。
つまりは、主語と冠詞を省略しない英語は主語と冠詞に力があるということです。
これについて、もう1つ例を出します。
A:○○した?
B:Yes, I did.
Aさんの内容は何でもOKなのですが、「○○した?」と聞かれたときの英語での回答は「Yes, I did」です。
ここで注目していただきたいのは主語の「I」が文中に入っていることです。
日本語であれば「うん、したよ。」と回答するのが普通で、「うん、私はしたよ。」と回答をするのは自然ではありません。
■補足
「私」を省略せずに「うん、私はしたよ。」と言うと、「私はしたが、他の人はしていない」というニュアンスが出てしまい、捉えられる意味が少し変わってしまいます。
このように日本語では主語を省略することが自然だが、英語では主語を省略しないことが自然になります。
以上は主語の省略についてでした。
次は冠詞について確認していくことにします。
日本語では「私はペンを持っています」と言います。
これを英語にすると、
I have a pen.
このように表現します。
冠詞「a」には「1つの」という意味があります。
日本語ではわざわざ「1つの」と言わないものの、英語では律儀に単数であるのか複数であるのかを必ず伝えます。
これが英語の習慣というか常識というか文法上のルールになっています。
英語では冠詞が省略されることはなく、名詞は必ず冠詞とセットで存在します。
※例外あり、「I have books.」など複数形の場合など
それくらい英語では冠詞が重要な役割を果たしているということです。
それゆえに冠詞も省略されません。
主語と冠詞は省略しない、これが英語のルールです。
ここから以下は私の気づきというか独り言のような内容なので、時間のある人、興味のある人だけご覧ください。
「あなたは頭がいいです」と英語で表現したい場合、
You are smart.
これが通常の形です。
それでは日本語と英語ともに省略を考えてみましょう。
日本語では、「頭いいー!」や「頭いいね!」という省略形が思い浮かぶはずです。
それに対して英語では、
smart.
(相手と面と向かってのシーンで)
You smart.
という省略形になります。
注目するべきは「You smart.」です。
このように、be動詞を省略した形の表現は日常英会話でよく使います。
You crazy.
You great.
You cool.
などなど、耳にしたことがあるはずです。
とにかく主語を省略せずに言う、これが英語です。
これは私の推測ですが、このように主語を言うことが英語話者の性格を作っているようにも感じます。
主語が省略されることが圧倒的に多い日本語と違い、主語を省略せず常に「I」や「you」と言う英語では、無意識にも自分の自分に対する思いが強くなるはずです。
それゆえに英語話者は日本人よりも自己主張が強くなったのかもしれませんし、自己主張が強いように感じてしまうのかもしれません。
どうせ省略しないのであれば文法通りでOKじゃん、と言われてしまえばそれまでです(汗)
ですが、ルールとしてこのような違いがあることを知っておいてほしいと思っています。
ちなみに英語と同様にフランス語も主語を省略しない傾向にあります。
それとは逆に、イタリア語、スペイン語、ポルトガル語、アラビア語などは日本語と同様に主語が人称代名詞の場合は省略することができます。
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