テキスト不要は本当か?
「テキストは不要です」ということを特徴とし、それを強く訴求した宣伝をしている英会話教材があります。
このような教材は「本当にテキストなしで十分な学習ができるのか」ということに対し、私の見解をここでは述べていきます。
私たちが経験した中学や高校の授業などは完全に座学で、教科書を見ながら、教科書に沿った英語の勉強をしてきました。
このような授業のスタイルを「楽しい」「自分に合っている」と感じた人は多くはないはずです。
それゆえに「テキストなしでOK」という英語の勉強法を提唱されると、それを魅力的に感じる人が多いはずです。
だからこそ、「テキストなしでOK」という学習スタイルを提唱する英会話教材が多いのではないでしょうか。
「テキストでしっかり学習します」という教材と「テキストなしで手軽に学習できます」という教材があれば、多くの人は後者の教材に興味を持つことでしょう。
しかし、私はこれがただセールストークとして言われているのであれば、よろしいことではないと思っています。
実際に私も「テキスト不要」と言われている教材をいくつか購入して使用しましたが、2つのタイプの教材があることが分かりました。
■「テキスト不要」という教材の2つのタイプ
- CDの音声でテキストと同様の解説がされているもの
- CDの音声に解説がないもの
同じ「テキスト不要」という学習スタイルでも、このようにその内容は異なります。
ここで私が注意すべきと指摘するのは、「CDの音声に解説がないテキスト不要」という教材です。
CDの音声に解説がない教材の多くは、英語と日本語訳を交互に聞いていくからテキストなしでも学習できると言われています。
しかし、中学や高校の授業を振り返ったとき、英文とその日本語訳を対にした音声を聞くだけで英語を理解できたかという疑問がわいてきます。
ただ英文と日本語訳を対で聞いたとしても、英語には文法があり、その文法を理解しない限り、説明がつかないことが多いです。
たとえば以下の英文があったとします。
I'm going to study English next Sunday.
CDでこの英文が流れた後に、「私は次の日曜日、英語を勉強するつもりです」と日本語訳が流れたとします。
しかし、ただこれを聞いただけで「「be going to〜」は未来を表すから「〜するつもり」という意味になるのだ」ということまでつかめるでしょうか。
私は極めて難しいと思います。
「どうして「go to」なのに「〜するつもり」なの?「〜に行く」って意味じゃないの」というように理解に苦しむ人もいるはずです。
そして、このように理解できない以上、頼るべきはただ1つ、「丸暗記」です。
英文とその日本語訳を交互に聞けば理解できるものもありますが、そうでないものもあります。
ただ英文とその日本語訳を対で聞いても理解できないものは丸暗記していくしかありません。
私は丸暗記の学習はいずれ限界がくると感じていますし、そうならないためにも丸暗記に頼らず理解して覚えるということも必要です。
このような理由から、音声で解説がなければテキストなしの学習は厳しいと考えています。
やはりその都度、理解して納得して学習を進めていくことの方が、学習へのストレスも少なく、また、楽しいものだと思います。
だからこそ、私は「テキスト不要」という教材でも、「CDに解説があるからこそテキスト不要」という教材をおすすめしています。
また、仮に「CDに解説があるからこそテキスト不要」という教材であっても注意点はあります。
その理由は、英語の音というのは、聞いたものとテキストを照らし合わせないと分からないものがあるからです。
CDを聞くと、「アナワゴー」と言っています。
そして、「1時間前」という日本語訳も流れます。
アナワゴーが1時間前?
一体これは何のことなのか?
何度CDを聞いても分かりませんでした。
ですが、テキストを見たところ「an hour ago」であることが分かりました。
まさか「アナワゴー」と聞こえるのが自分がすでに知っている「an hour ago」だったとは、、、
実は知っている単語でも聞き取れない、このようなことはよくあるものです。
そんなとき、頼りになるのがテキストです。
また、綴りについてもこれと同じことが言えます。
テキストなしでただ英語を聞くだけの学習をしていては、単語の綴りについて身につけることができません。
聞くだけで綴りまで正確に理解できるようになるとは考えがたいです。
このような理由からも、テキストがまったく不要ということはありません。
人間は、情報の9割以上を視覚から得ていると言われています。
このような現実を考えると、テキスト不要というコンセプトの教材でも、テキストを適宜使用して学習する方が効果的で効率的と言って間違いありません。
私は自分の経験上、テキスト不要で英語を学ぶことは非効率だと思っています。
「テキスト不要」と聞いて、ラクさに飛びつきそうなあなたにイエローカードです。
たしかに学習がラクなのは間違いありませんが、「テキスト不要」の学習スタイルにはここで述べたデメリットが伴います。
このように「テキスト不要」というハンデのある学習スタイルであなたは十分な効果を得られるか、この点についてしっかりと考える必要があります。
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