学校の英語の授業の問題点
誰もが中学や高校の英語の授業で英語を学んでいるのですが、ほとんどの人がそれが役に立ったと言っていないように感じるのは私だけでしょうか。
「高校で英語を学んだがすっかり忘れてしまいました」
私を含め、このような人が大半だと思います。
それでは、中学や高校のとき、頭が良かった人はどうなのでしょうか。
私と同じ中学出身で東京大学に行った人がいます。
彼はたしかに当時から英語のテストで満点を取っていましたが、当時も今も英語を話すことはまったくできません。
これは彼自身も認めています。
中学と高校を通して週に3〜4時間程度も英語を学習してきているわけなので、勉強量としては相当なものです。
しかし、なぜこれほど授業の英語を通して英語が身につかないのでしょうか。
単純にそこには問題点がありすぎるからです。
クラスの人数の問題
学校の授業というのは地方によって差はありますが、大体30〜40人で1つのクラスになっています。
当たり前の話ですが、教師一人に対して生徒が30〜40人では指導が行き届くわけがありません。
英会話学校にグループレッスンがありますが、それとは比較にならないほどの人数なわけです。
生徒のレベルが異なる
高校や私立の中学ではこの点による影響は小さいかと思いますが、同じクラスでも生徒のレベルはまったくバラバラです。
レベルがまったく異なる生徒が同じクラスで同じ内容の授業を受けること自体に問題があります。
これはただ地元が同じというだけで集まった中学では特に顕著ですが、入学時には同じレベルだった高校でも生徒のレベルは時間の経過とともに開いていきます。
生徒のレベルによってクラスを分けない限り、最適な英語教育はできないはずです。
教師の英語力
今の私が過去を振り返ると、いかに中学や高校のときの教師の英語力が高くなかったかと思います。
※低かったわけではなく、高くなかったという点をご理解ください。
英語をぺらぺらと話す教師はいたでしょうか?
きっといないはずです。
もし英語を自由に話せるほどの英語力があれば、きっと別の仕事をしていることだと思います。
私の友人も公立中学の英語の教師をしていますが、彼の英語力はお世辞も言えないほどひどいものです。
私は彼のことを昔から知っていますが、彼が教師になった理由は英語が好きだからや英語が得意だからというのが一番の理由ではありません。
教師という安定した職業を求めたことが理由です。
そんな彼が、私のように週末にガリガリと英語を勉強するということはありません。
英語よりも音楽を聞いている方が楽しいことでしょう。
このことからも分かるように、そもそも教師の英語力と英語に対する情熱が高くはないので、その程度の授業になってしまっているのだと思います。
※すべての教師がそうだとは言いません。
2016年2月27日に文部科学省が英語教員の育て方の改革として、中学と高校の教員に英検準1級程度の英語力をつけさせる方針を掲げました。
これに対して私は「教員が英検準1級を目指すってどれだけレベルが低いんだ!」と声を大にしてツッコミを入れたいくらいです。
2014年度の文化省の調査では、英検準1級程度の英語力の公立中学教師は28.8%しかいないとのことです。
「いやいや、まじめに英語を勉強してきて教師になるような人が英検を受ければ準1級くらいは簡単に受かるでしょ」と私は思ってしまいます。
こんな感じで私は特に対策することなく英検を受けたら一発で準1級に合格しました。
このことから分かるとおり、多くの教師は教師でない私以下の英語力しかないのが事実なのです。
日本の英語教育が正しいか否かを論じる以前に、教師が英語を教える者として本当にそれに値する力があるかを考えることが先だと思います。
生徒への教育の不平等
先ほども書いたとおり、クラスの中の生徒のレベルはバラバラです。
そして教える教師も人間なわけです。
そのため当然のことですが、すべての生徒に平等の教育がなされるとは思いません。
悪い言葉で言えば、「えこひいき」ということもあるでしょう。
英語ができない生徒に対して、手取り足取り時間をかけて指導をするとは思いませんし、逆に優等生であれば自発的に学習をしてくれるので指導をしなくてもよいということもあるかもしれません。
先生も人間なのでこれは仕方のないことでしょう。
生徒の意識の問題
クラスに生徒が40人いたとき、果たしてその中で真剣に授業を受けている生徒は何人いるでしょうか。
よっぽど意識が高い生徒でない限り、真剣に受けていないと私は思います。
ただ出席するだけ、これが生徒のスタンスだと思います。
こんな状態では学んだことが頭に入るはずがありません。
授業の内容自体に問題がある
これが最大の理由だと私は思っています。
ここまで紹介してきたのは、授業の環境の問題です。
しかし、環境以前に授業の内容に問題があると思います。
学校の授業の英語は、端的に言えば「受験突破のための英語」です。
英語を話せるようになるための内容ではありません。
そのため、東大に入学した私の友人でさえも英語が話せないのです。
学校の授業でスピーキングのテストがありましたか?
リスニングのテストですら期末試験にしかやった記憶がありません。
それに対して、毎日のようにリーディングとライティングの勉強ばかりをしてきました。
実際の英会話で必要となるのは「話す、聞く」です。
それとは対極に当たる、「読む、書く」が中心だったわけです。
将来を考えたとき、誰もが「英語が話せる、聞き取れる」を望んでいるのに、「話す、聞く」をしないのが学校の英語の授業です。
当然のことですが、これを何時間受けようとも英語が話せるようになるはずはありません。
しかも、授業の90%以上が日本語で行われる始末です。
長々と理由を述べてきましたが、これらの理由が積み重なり、学校の英語の授業は無意味に近いものになってしまっているのだと私は思います。
これはあくまでも「日本の学校の授業」です。
北欧など英語を得意とする諸外国の教育システムは学校教育を通して英語が話せるようになります。
なぜ日本はこうなってしまったのか、私は不思議でたまりません。
しかし、せっかくなのでこれをポジティブに捉えるようにしましょう。
学校の授業の内容を忘れてしまった、過去に英語が苦手だった、これらは関係がないということです。
学校の英語の授業を通して得られるものはないようなものなので、大人になってから英語を始めるのであれば、みなが同じスタートだと考えましょう。
過去は気にせず、未来を見て英語を頑張っていく、学校教育で出遅れてしまった日本人にはこの姿勢が必要だと思います。
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